ハリーのタカの目ブログ

起業日記になりそうな予感

「まだ自己分析やってんの?さっさと釣りに行け」という話

就活中の学生(仮名:コウスケ君)との話。

仕事柄、学生とよく接するので進路相談を受けることがあります。

就活の流れというと

自己分析→業界研究→会社研究→エントリーシート作成→面接

一般的にはだいたいこんな感じです。

最近の学生は業界研究や会社研究はあまりしないという話も耳にします。

面接受けに行ったはいいものの、その会社のことを詳しく知らないまま臨むこともあるのだとか。

「とりあえず受けてみるか」

僕は自分の殻に閉じこもってるよりは、そっちの方がまだ100倍マシだと思ってます。

 

今回、話をしたコウスケ君は「自分のよさがわからない」といって右往左往して、今の時期になっても自己分析セミナーとかにお金払って行こうとしている学生です。もちろん、ちゃんと興味もって会社説明会とかも行ってるわけですが。

知り合いの先生から「それってモテない男子がやるクソダサいパターン」と言われ、セミナーに行くのは思い直したようです。

 

相談を受けて、僕はこういう話をしました。

僕「釣りってしたことある?」

コウスケ君「はい」

僕「うん、まぁ聞いておきながら俺あんまりやったことないんやけどさ(笑)

あのね、自己分析ってのはエサ箱の中身を用意するもんなんよ。魚を釣ろうと思ったら色々道具はいるけど、エサいるよね。ルアーでもいいし、生エサかもしれないし。でも、今から釣ろうとしてる魚がどんな魚で、何を好むか、はっきりとはわからんけどエサつけて釣り糸投げてみたらいいやん。

それで、あ、これ違ったと思ったら別のエサつけてまた投げる。その繰り返し。でも、相手の反応見たらだんだんどのエサが好きかわかってくると思うし、そういうの見ながら話をできるのが、よく言うコミュニケーション力ってやつなんじゃない。ほんとかどうか知らんけど、企業の多くはコミュニケーション力がある人を欲しがってるらしいよ。自分たちにあんまりないくせにね。

だから、エサばっかり揃えてても、魚が本当にそれを食べるかどうかわからないし、さっさと釣りに行った方がいいやん。だから、エサの種類も3個くらいあったら、十分試せると思うよ。

その3個のエサが、あまりにもマニアックだと食べる魚も限られてくるよね。もしかしたら深海魚くらいしか食べんかもしれんから、深海魚に行き当たるまで釣り糸を伸ばさないといけない。つまり、当たる数も少ないし、探すのも大変。見つかったらラッキーだけど、見つかるまで魚に会い続けないといけない」

コウスケ君「めちゃくちゃよくわかりました。その、エサがあると思うんですけど、やっぱり自分の良さの伝え方がうまくわからなくて。自分が好きになれないんですよね。どっちかっていうと嫌いで…」

僕「今のところコウスケ君の興味も関心もない女の子がやってきて、君のこと好きって言ってるけど、ネガティブなこといきなり話しまくったらどうする?」

コウスケ君「うーん、ないですね」

僕「ま、そういうのを好む人もいるかもしれんけどね。でも、初対面って相手のことよくわからないから、ネガティブなことばかりでも微妙だし、ちょっと近寄りがたいって思われると微妙よね。一緒にいたいとは思えない。で、ネガティブなことは、もちろん人間だから思ったり話したりしてもいいんやけど、なんか大変だけど笑顔で明るく楽しそうにそれを伝えることで、相手の受け取り方も変わるわけね。

自己PRの伝え方も同じで、自分ではネガティブにしか思えないようなことでも、少しだけ見方を変えればとても魅力的に映ることがある。これをリフレーミングというんだね。ある角度から見たらあまりカッコよく見えないけど、違う角度から見るとものすごくカッコよく見える人だっている。人の長所とか強みとかもそういうことで、自分が思ってるネガティブな感じじゃなくて、表現するための言葉をちょっと変えるだけでまったく変わる。

たとえば、コウスケ君は自分のことが嫌いだっていうけど、なんで嫌いなん?」

コウスケ君「理想の自分に遠いというか、なれない、というか」

僕「そういう自分になれたら自分が好きになれるってことかな。まぁここではリフレーミングってのをすると、コウスケ君はまず自分の理想や目標を持っていて、それに向かって努力できる人間だということやね。

で、努力してるんだけど、なかなかたどり着けない。たどり着けないけどがんばる。がんばるけど、たどり着けなくて疲れる。そんな自分になれない自分はダメだ、嫌いだ、と。

どう思うかわかんないけど、それってすごいことなんだよ。普通の人にはできない。別に自分を好きになれとは言わないけど、今言ったみたいな別の見方ができる自分も、受け入れることやね」

コウスケ君「そう、なんですね…」

僕「今まで色々聞いてたり、他の人が言ってくれてるみたいに、コウスケ君にはたくさんいいところがあって、エサ箱は十分なんよ。でも、エサ箱が自分の理想に見えないから、ぶーぶー文句言って、もっと充実させなきゃって言ってる。さっさと釣りに行け。そんないつまでもうだうだしてるやつなんか知らんわ。ていうか、仕事するかぎり自己分析なんか永遠にやり続けないといけない話で、自分でもまだ自分のことよくわからんこともあるし、本当の強みなんて仕事やりながらわかるもんなんよね。だからエサ集めるのはほどほどにしていいよ」

コウスケ君「わかりました、ありがとうございます!」

 

…と、こういうわけでした。

正直に言えば、別にこんな相談なんか受けなくても彼はとてもいい学生なので、内定はどこかしら得られると思います。それは、いくつか会社を実際に受けてみれば、彼なら自然とわかってくることですし。

まじめで、もっと上を目指したいと思うので、僕なんかに話を聞きたいと思ったんでしょうね。

なお、この話は僕がお酒を飲んで話をしたことと、彼との関係がある程度これまでに築かれている状態という前提がありますので、他の方がどう思うかはいざ知らず。

 

今年も桜がきれいですね~。花見したいなぁ。