30代男、福岡で起業して一年が経ちました
ハリー(経営者@福岡)です。
昨年10月に会社を設立して、もうすぐ1年が経ちます。
めでたく9月で決算を迎え、会社は第二期目へと突入しました。
約1年前に設立の経緯を書いたのがこの記事です。
今日は、一年を振り返って思ったことを書いておきたいと思います。
ちなみに、僕がサラリーマンを辞めてから4年が経過しました。ここは日本なので、何とか生きてはいけます。
運が良かっただけ
つくづく思います。
ここまでこれたのは運が良かっただけです。僕の能力があったわけでもないし、何か特別なことをしたわけでもありません。
謙虚ぶってるわけでもないし、謙遜したり卑屈になってもいません。客観的に見て、そうだからです。
なぜかというと、今年、同じタイミングで起業ができたかといえば絶対に無理だったからです。その前の年でも無理でした。去年じゃないとダメだったわけです。
僕はある企業とのコンサル契約を結ぶため、会社をつくりました。
そこに至るまでの重要なポイントは、企業側のキーとなる方とのお付き合いが1年半近く続いたこと、ただそれだけです。
その方のお計らいで、僕は契約までたどり着けた。
そして、その方は今年、別の部署に異動されて全く別の仕事をされることになりました。
だから昨年とはまったく状況が違います。だから、生き馬の目を抜くようなタイミングで僕は起業して仕事を始めました。こんなチャンスはもうやって来ないと思います。
フリーランスと会社には大きな差
「フリーでやってます」
と
「会社をやっています」
は大きく違います。超えれないほどではないですけど。
どうせ僕も今ひとり会社なので、フリーみたいなものと本質的には差がありません。
でも、色々違います。手続き的なものも含めますけど、なんか自分の感じ方が変わります。
会社をつくるまでは「自分、これからどうしようかな・・・」という考え方だったんですけど、いざ会社ができてみると「この会社、どうしようかな」となります。
がんばって大きくするのも、今のまま維持するのも、うまく行かなくなったらつぶすのも自由。でも、生みの苦しみが痛いほどわかっているので、つぶしたいとは思いません。多分、多くの経営者の方が、小さかろうが大きかろうが同じ気持ちを抱くんじゃないかと思います。
「つぶしたくない」「大きく育てたい」と、まるで自分の子どもでも見るような気持ちになります。よくも悪くも、これが会社経営の原動力になるように思います。
あと、周りの見方も変わります。こっちの方が大きいかもしれません。
世の中で働いている人のほとんどは、サラリーマンか、非正規雇用の人です。日本は会社の数が多いので経営者もその分多いのですが、比べてみれば圧倒的に雇われている人が多いのが現実です。
その人たちからすると、経営者というと一線を画すイメージがあるようです。僕より仕事も稼ぎもある人はたくさんいるんですけどね。
それと、やはり経営者同士になったときに目線が同じになります。「こっち側」に来たな、と。もちろん、会社の規模はさまざまなので心の中でなんと思うかは人それぞれです。心ある方は期待もしてくださるし、対等に接してくださります。
経営者としてどこまで行けるか、そのステージにようやく来たんだなと思います。
自分のやったことがそのまま跳ね返ってくる
これはフリーランスでも同じかもしれないです。
基本的に、裁量権があります。自分で何事も決められます。もちろん、お客様との関係でいえば制約はあります。そのことをどう考えて、扱うかもすべて自分次第です。
一生懸命がんばっても、サボっても、それがその分結果に現れます。だから、どの程度力を入れ、抜くべきか、何となくわかってきます。チームで仕事をするわけでもないので、仕事の進捗が手に取るようにわかって、見通しが立てやすくなります。
自分の強みと弱みが「まじで」見えて来る
強みと弱みについては、僕が書いている別立てのブログで詳しく触れました。
会社をつくってからは、日々、真剣勝負です。
誰と戦うかといえば「自分」です。
ここには倒すべき社長や上司はいません。お客様とは戦っている場合じゃありません。自分が生きるか死ぬか、それしかないので、戦うのは常に自分とだけです。
そうすると、自分の中で「あ、こういうのは得意なんだな」とか「こういうところはかえってマイナスにとらえられるんだな」とか、そういうのがどんどんわかってきます。
プラスなところもマイナスなところも見つかって、もちろんそういうのは時と場所が転じれば逆転したりするんですけど、いつまでもマイナスなところってやっぱりあるんですね。そして、もちろんプラスでありつづけるところもある。
そういう自分とうまく付き合い続けないといけないので、よく自分を客観視します。
そして、伸ばすべき強みと、変えるかカバーするしかない致命的な弱みを認識しながら、日々を過ごしていきます。
お金に敏感になり、鈍感にもなる
大学生が新卒で民間会社に入社して、もっとも苦戦するのは何でしょうか。
それは「コスト意識」です。
数字が苦手な人も、得意な人も関係なく、お金のことはよく考えないといけません。
大企業になればなるほど、恵まれた環境に身を置くことになるので周りのあらゆるものが「所与のもの」、つまり、当たり前のものとして考えてしまいます。
PC、携帯、名刺、デスク、電気、水、トイレ、文房具、交通費、宿泊費、教育、先輩や上司からの指導などなど。
会社が苦しくなると、経費削減などで急にコスト意識が強くなったりもしますが、それでも身の周りの経費に限られるでしょう。
上の立場に立つほど、会社にかかるコストには敏感になります。広い範囲を見ることになるので、色々なものがお金に見えてくるわけですね。人さえもお金に見えるという会社もある。
したがって、会社経営するとコストに敏感になります。その一挙手一投足からお金が出て行きもするし、もしかしたら生まれるかもしれない、そんな感じ。
一方で、正直にいうと会社のお金に対してどこか鈍感になる部分もあります。
僕のようにひとり会社だと、自分の懐と会社の財布は同じようなものだと一般的には思われるようですが、なんか薄皮一枚あるような感覚になります。
決して自由には使えないお金なので、そうなるわけですが、反面、使える部分については使ってしまおうという気になる。
それが大きな罠かもしれません。僕もそれで大きな失敗をしました。
税金は払ったほうがいい
これは会社をつくった当初から思っていましたが、最終的に法人税は払う方がいいと思って黒字化を目指しました。
僕の会社は資本金100万からスタートしています。
これは、吹けば飛ぶような数字ですが、資本金1円からつくれる時代からすると、外から見た時にある程度は確保してるんだな、と思われます。
それは「信用」の問題です。
平成26年度の国税庁納税データによれば、66.7%の企業が赤字でした。ちょうど3分の2が赤字なわけで、残りの3分の1は黒字です。
どうやら日本には税金を払わないようにできるならそうしたい、という思いがあるようです。確かに、場合によってはどんと持っていかれますからね。
将来的に、融資を受けたり投資を受けたりすることを考えた場合、最終的に決算書と経営者の姿勢や資質で判断されると思っています。
そうなると、経営者の部分での判断は自分ではコントロールできないので、せめて決算書を見せて恥ずかしくないものにしたいというのが僕の思いです。
そうやって、少しずつ信用を積み重ねるしかない。
ひとりはつらい
ある日、やや遠方に仕事に行くことがありました。
余裕をもって現場についていたのですが、準備を確認していると持ってくるべきものを忘れたという致命的なミスをおかしていることに気づき、一瞬頭の中が真っ白になりました。
そのときは、これもたまたま偶然運がよく、非常にお世話になっている方がわざわざ届けてくださって、一命をとりとめました。
会社をひとりでやっていると、いつも誰かが助けてくれるわけではないので、そこがつらいところです。ミスをおかなさいことがもちろん大事なのですが、だって人間だもの、で限界はあります。
困ったときだけではなく、何か前に進もうと思うときやアイデアが欲しいとき、なんでもいいので話し相手になってほしいとき、自分ができないことをやってほしいとき、そういうときはやはり一人より二人、二人より三人だなと思います。
会社は必ず大きくしたいと思っているので、早く一緒に船に乗ってくれる人を探したいな、とその前に乗る船をなんとかしないといけないわけですが。
ブラック化した自分が当たり前だと思ってはいけない
世間では「ブラック企業」の問題で騒がれています。
ブラックが行き過ぎて過労死で亡くなってしまった方たちのことを思うと、胸が痛くなります。
年間200件もの過労死が認定されている日本の社会で、将来的には社員を雇うことについて色々と考えます。
基本的な生活を守るのは最低条件としても、どうやったらやる気を出してもらえるんだろうかとか、離職しないでもらえるんだろうか、とか。
僕は、プロフィールでも名乗っているように「組織屋」です。組織運営に関係することは普通の人よりも知っていると思います。組織を動かすのは人ですので、人がいかにはたらくか、どういった制度や仕組みを作るか、それが中心的なテーマです。
しかし、頭ではわかっていても、なかなかやれないこともあります。また、わかっているのに失敗することもあります。
この一年、働き方には気を付けていましたが、やはり普通のサラリーマンはやらないだろうなという仕事の仕方もしていました。僕は夜眠くなるのが早いので、深夜まで労働することはありません。が、その分休日をつぶしたり、深夜ではなくても遅くまで仕事をすることはありました。
経営者なのでどれだけ多く働いたところで給料は増えませんし、残業代もありません。逆に、通常の労働時間という概念もないわけです。
これが当たり前の経営者は、自分がブラック化していることになかなか気づけないと思います。サラリーマンをやった経験があれば、まだわかりやすい。サラリーマンっていいな、と思ったりもします。
ブラック化した人は、他人をブラック化します。闇が、色々なものを闇に引きずり込むようなものです。
それだけは良くないので、将来社員を雇うことになったらここは意識しないといけないと思います。
同じ一年はやってこない
最初に書いたように、去年と今年ではまったく状況が違います。
お客様側の体制も変わり、業績状況によるプレッシャーもあって、雰囲気が違います。
この場をどう乗り切っていくかは、こちらの手腕次第です。
来年はあっさり切られるかもしれないし、つなぐかもしれない。
まさしく、お客様は神様です。こちらの運命線を握ってます。
一方で、僕のステージが変わると同時に、出会える人やこれまでの人間関係の質が変わってきました。自分の成長している部分もあれば、変わらないなぁと思うところも多々あります。
ようやく、商売のことがなんとなくわかりかけてきたし、市場の反応についても考えるべきことが出てきました。
それに、これまで積み重ねてきたことが次の何かにつながるかもしれない、といった淡い予感もあります。
僕は、以前会社を辞めてから、これだけは続けようと思ったことが2つあります。
人と会うこと
勉強すること
この2つは、必ず続けていこうと思っています。
僕の会社がこれからどうなるか、それは神のみぞ知ることですが、自分なりの目指すところをもって、これからもやっていきたいと思います。
また一年後、どのようなことを書くことになるか、自分自身がこれから楽しみです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。