質問はなかったのに後で質問がめっちゃ来た話
こんにちは、ハリーです。
前回の記事「質問が出ない時の効果的な方法」では、多人数でも少人数でも「手を挙げるのが恥ずかしい」とか「何を聞いたらいいかわからない」といった恐れや不安をうまくやわらげて、質問が出やすい空気をつくる実践的な手法をご紹介しました。
さて、今回は「質問が出なかったのに、後になってメールでめっちゃ質問が来た」話です。
終わった後に質問に来る人
よく、セミナーや研修などで中身が終わったあとに、個人的に質問に来られる方がいらっしゃいます。他の人からもそういう話は聞きます。
そのことが悪いわけではないですし、「終わった後も個人的に質問を受け付けます」と宣言される場合もありますし、スピーカーと個人的に話をしたくて、というのも理解できます。
それでも、終わった後に質問に来られる方は少いときは0~1人、多くて2~3人じゃないでしょうか。1人1つくらいの質問なので、大体3~4個答えて終わりとなります。
メールで来た質問の数
さて、今回私宛に後日メールで来た質問は、なんと9個でした。前回の記事で触れていますが、この質問を寄せたのは200人超のパネルディスカッションのときに参加した方々です。
質問、あるやん(笑)
しかも、内容はわりと濃い話もあったので、もしあの場で共有してくれていたら、もっと有意義な時間になっただろうと思いました。
人間は楽な方の機会を利用する
それで、何でそんなことになるんだろう?と思ったんです。
結論は
後でメールで質問しても、答えてくれる楽な機会が用意されているから
だと考えました。
今回、大学生の講義の一環で話をしたので、学生は講義終了時に書くシートに、ついでに質問も書いていたわけで、それを取りまとめてわざわざ「回答してくれ」と大学の方がメールされてきたんですね。
人間、楽な方に流されるに決まってます。わざわざ人前で質問するよりもシート書いとけば後でどうせ教えてくれるし、と。
だからこのメールが来た時に若干腹が立ちました。
結局、大学側がこういうことするから学生がいつまでたっても主体性とか積極性が持てないんだろうと。
細かいことですがこういう対応とか姿勢によって、大学のレベルが知れてしまうわけです。教員や事務方の人たちの、外部の人間に対する接し方で、彼らのレベルだけでなく、おのずと学生のレベルもわかってしまう。
もちろん、これって会社も一緒なんです。会社の客観的な雰囲気は外部からしかわからないので、社員の方の振る舞いで会社のレベルがわかります(もちろん、ちゃんとしているところが”いい会社”とはかぎりませんが)。
仕事柄、色々な大学に顔を出しますが、やはり複数を比較するとその大学のレベルがわかってきます。偏差値とは関係ないかもしれません。偏差値が低くて中身もひどいところもあれば、偏差値が高くはないけれども何か一生懸命やってて質の高さを感じる、というところもあります。一概には言えません。
質問の内容
講義では、「社会で求められる人物像」「大学生のときに心がけること」というテーマで話をしました。
その中で私が伝えたかったことは
- 外に出ろ。活動を自分の大学の中だけで完結するな(視野の狭い学生は就活で失敗する)。
- 挑戦して失敗しろ。経験値ゼロは、いつまでもゼロ(面接で何もPRできない)。
- 本を読んだり人の話を聞いてインプットしろ、そして、自分もアウトプットしろ(面接で、社会人と自然に話ができない学生は落ちる)。
- 人の優秀さは学歴や能力では決まらない。習慣によって決まる。いい習慣を身に付けろ(例えば、あいさつする。人に感謝する。敬意をもつ。約束、時間を守る。反省して、謝るべきことはきちんと謝ること。準備を怠らないこと)。
- 中毒性のものを減らして、生活習慣を見直せ。特にスマホには注意。
といったところでした。もちろん、実際はこんな命令口調ではないのでご安心ください。
この話に対して学生からどんな質問が来たか、それと僕の回答を一部ご紹介したいと思います。しかし、いかんせん相手の意図がその場で確認できないので、やや抽象的な答えになってしまうのが残念なところですが…
①情報をインプットできてもアウトプットできない人はどうすれば良いですか?
アウトプットできない、というのは単なる思い込みです。
今の世の中であれば、ネット上でブログやSNS、動画などアウトプットはいくらでもできる機会があります。
また、公式な発信でなくても、先生や友達との会話の中でテーマとして話題に出すこともできます。
まずは、100%のものとか完璧なものなどは考えず、まとまっていない状態で話してみる、あるいは、書いてみるということがアウトプットになります。
それを続けると、インプットの質が変わってくるので、良いサイクルを回してほしいと思います。
②スマホを持つことは結局良いことではないということですか?
講義の中でも繰り返しましたが、スマホは否定していません。私も仕事や私生活でも有効活用しています。
考えてもらいたいのは、それをすることで自分にとってどれくらい良い意味があるか、ということです。ゲームや友達とのやり取りも、プラスの意味があると思うのでやめる必要はありません。
しかし、習慣としてどれくらいの時間をそれに使うかは、よくよく見なおして、他に意味のあることができるのでは?ということをお伝えしたかったのです。
③採用面接で一番重要視されるポイントは何ですか?
一番は、自然なコミュニケーションが取れるかどうかです。
次に、熱意(やる気)と論理的かどうかが大切です。
最後に、自社に来てくれるかどうか(志望度の高さ)も重要になってきますが、大体の学生さんが「御社が一番です」と言うので、あまりあてにはなりません。
他にも採用基準はありますが、これは会社によって異なるので一概には言えません
「これをやっておけば絶対OK」というようなものはないので、運も関係します。
最終的には、他の応募者の学生と比べたうえで、会社と「合う」「合わない」で判断されます。
④人の力には限界があります。どうあがいても現状を変えられず無力さを感じる時、どうしますか?
自分ひとりで何でもできると思っていること自体が、まちがった思い込みです。
したがって、限界を超えるためには他人の力を借ります。
もし自分の努力でなんとかできるようなものであれば、努力して改善する以外ありません。
根本的に自分の考え方や物事のとらえ方を変えない限りは、周りにも変化は起こせません。それをするには、まずは自分の行動や習慣の根元にあるものに気づくしかないです。
ただ、時間が経てば自然と解決されるものもあるので、あまり思い悩みすぎないことも大事です。
⑤学生に必要な能力は何だとお考えですか?
自分で考える力と、行動の積み重ねです。
自分と同じかそれ以下のレベルの人と一緒に活動したり日々をともにしても成長はありません。また、その人たちがやっていることと同じことをやっていても、考える力は生まれません。先生や本、外部の人との交流によって自分を高める必要があります。
その刺激を通じて、自分で考える力が養われます。したがって、まずは行動してみる方が先かもしれません。それが成功しても、失敗しても、どちらでもよい経験になると思います。
⑥日本の会社では「空気を読める」ことが大切ですか?
日本の会社でも外国の会社でも、「人の気持ちがわかる」ということが大切だと思います。
日本で言う「空気を読む」が具体的にどういうことかは私もわかりませんが、タイミングと場をわきまえて、社会人としてふさわしい行動や言動を求められることは間違いがありません。
自分の考えや主張を持つな、ということではなく、丁寧な発言や振る舞いをしなくては、周りからは信頼されないということだと思います。
したがって、お客様や周りの社員の気持ちを察して、言われる前に行動に出るなどのプラスの意味で考えれば、空気を読むことは大切です。
しかし、会社として間違っていることや違法なことをしているのに、それに対してあえて何も言わないという空気の読み方は、マイナスだと考えられます。
人間関係においては、空気を読むことがよい場合もありますし、かえって読まずにいる方がよい場合もあります。そこは、どういった人たちが周りにいるかで、自分で考えるしかないと思います。
誰と出会うか、誰と一緒にいるかで人生は決まる
答えを考える中で、一番彼らに伝えるべきだったのは「人との出会い」の大切さだったかと思い当たりました。
自分を高めてくれる存在が周りにいるか。
自分が今の環境で成長を実感できるか。
学習の機会があるか。
結局は、自分と同じかそれ以下のレベルの人と付き合っていても、自分に変化はないということです。
社会人だろうが学生だろうが、その同じかそれ以下のレベルの人たちと同じことをやっていたら、差がつかないということになります。最近、人事の人たちがよく口にする「ほとんどの学生が同じに見える」というのは、そういうことにつながっているのでしょうか。もちろん、現象の奥には根深いものがあるのかもしれませんが。
そんなところを、次の機会ではもっと話せたらと思います。